Common’s Sense
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奨学金と生涯賃金
庄子 隆
第5回は、新入社員の3割が3年以内に離職しているという現状や、年金や住民税といったお金の話を伺いました。連載の最終回となる今回は、前回に引き続き「社会人が知るべきお金の話」がテーマです。(取材・文/古川紗帆)
― 卒業して働き出してから、奨学金の返済に苦労する人も多いと聞きます。
まずは、万が一返せなくても学生支援機構などに事前に相談することが大切。返還期限の猶予を願い出ることができるから。奨学金のほかにも、どこかで借金をして返せなくなった場合は、最悪、自己破産という方法がある。自己破産してカードが使えなくなるだとか、経済的にある程度制限されることはあっても、会社を辞めなければならないということはない。自己破産はもう一度立ち直るためのもので、健全な方法。
― 働くことに関するお金のキーワードのひとつに「生涯賃金」があると思うのですが、サラリーマンの生涯賃金は2億~3億とのことですね。
学歴による差も大きいんだよね。例えば、企業規模が1000人以上だと、中学卒と大学・大学院卒では1億くらい生涯賃金が違う。
― 「生涯賃金」は、新卒で就職してから退職までの間に得る総賃金、という認識で間違いないでしょうか?
基本的にはそういうことだね。退職金や、61歳以降の働きも含めて推計して「生涯賃金」とするものもある。生涯でこのくらいお金を得ることになると見込まれている、ということ。
― 定年以降も働き続ける人が増えていますよね。
国民年金を全期間納めれば1年間に78万円を貰えるという話をしたけれど、年金だけじゃ生活が厳しいからね。今と昔では状況が変わって、共働きも当たり前になっている。女性は特に、結婚や子育てのことを考えると「地域限定」の職種の方が、キャリアを無駄にしないという意味でも働き続けるには良いと思う。今は景気も良くなってきて学生にとっては有利な時代だから、自分の頑張り次第で希望の会社に入れるチャンスは増えている。ずっと働くということを考えて慎重に就職してほしい。