Common’s Sense
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働くとは何か? ~「就職」ではなく「就社」~
庄子 隆
パナソニック㈱の人事部にて、新入社員の採用や人材の育成・配置などの業務に20年以上(松下通信工業(株)時代も含む)携わっていた庄子隆氏へのインタビューを、全6回にわたり連載します。第1回~第4回は“「働く」とは何か?”、第5回・第6回は“社会人が知るべきお金の話”が大きなテーマです。庄子氏の言葉のひとつひとつから、学生の皆さんが自分の将来について考える際のヒントがきっと見つかるはずです。
(取材・文/古川紗帆)
― まず、「就職とはどういうことなのか?」をテーマにお話を伺いたいと思います。
第一に、「就職」という言葉は意外と不正確で、多くの場合、正しくは「就社」なんだと言いたい。
―「就社」とは、あまり聞き慣れない言葉ですね。
日本では「就職」と言う言葉が一般的だからね。「就社」というのは、これは特に総合職において言えることだね。
― 総合職とはどういう雇用形態なのでしょうか。
希望した会社に入社した場合、最終的に会社と雇用契約を結ぶのだけども、総合職の場合は、勤務地、職種などについての定めがなく、会社の指示に従わなければならない契約になっているんだ。勤務地は海外も含めてどこにでも行きます、職種に関してもどういう仕事でもやります、というように、会社の指示に従って働くという意味で、総合職での雇用は特に「就社」だと言えるというわけだ。
― なるほど。「職」に就くと言っても、その「職」は会社から指示されるものであり一定ではないということを考えると、総合職に就くことは「就社」であると言う方がしっくりくるような気がしますね。その他の雇用形態ではどうなのでしょう?
一般職というものがあるけれど、これは勤務地や職種が最初から限定されていて、その範囲内での異動しか有り得ない。ただ、一般職は総合職の補佐的な業務を担当し、事務的な作業が多いため事務職と呼ぶ企業もあるくらいだ。その一般職と総合職の中間として、勤務地を一定のエリアに限定した「地域限定職」というのがあって、会社によって「準総合職」や「特定総合職」などとも呼ばれているね。
― 転勤がないというのはやはり働き方として魅力的ではありますね。
特に女性には人気の働き方だよね。結婚、出産ということを考えると、世界中どこにでも転勤させられるというのは嫌だという人は多い。自分がどういう働き方をしたいのか、きちんと考えて、会社に入る前に雇用形態や契約内容についてしっかり確認しておくことが大切だということを覚えていてほしい。そうでないと自分の人生設計ができなくなってしまうからね。