Common’s Sense

播摩 光寿

古文も海外とも“共通点”を探す

播摩 光寿

日本の古典研究の第一人者であり、大学や予備校、カルチャースクールなどで教鞭をとられている播摩先生。
前回に引き続き今回もグローバル化と古典についてお話を伺います。

(取材・文/古川紗帆)

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― 引き続き海外との日本文化の関わりについて伺っていきたいのですが、海外の人と接するときに重要になるのはどんなことでしょうか?

 逆の立場になって考えてみると良いよね。もし自分が海外の人と会ってお喋りをする機会があったら、何を聞きたいのか。それにどう答えてほしいのか。たとえば「どんな文化があるの?」「こんなときあなたの国ではどうするの?」というような質問をして、相手が答えられなかったら「もうこの人とお話しても意味がないな」と思うよね。


― 自分ならどんなことを海外の人に聞きたいかを考えて、同じことを自分が聞かれても答えられるようにしておくわけですね。

 日本に来るような海外の人たちは、日本のことをちゃんと調べている人が最近は特に多いよね。調べた上で、どこそこに行きたい、これを直接見て知りたいっていう目的が明確にあって日本に来ている。私たち日本人は、彼らが求めているものに対して、きちんと説明できないといけない。これが、国際化・グローバル化のポイントだと思う。


― 相手が求めているものが何かを見極めることも必要になってくるでしょうか?

 そうだね。外国人が日本の何に興味を持つか、それが漫画なのか、歌舞伎なのか、富士山を登るのか。彼らが日本に何を求めているのかを明確にする必要がある。それと大切なのは、お互いに人間であるということを前提として、自分と海外の人との共通点を探すこと。


― 古文の読み解き方についても、現代語と古語の共通点を探すことから始めれば良いとおっしゃっていましたよね。
 うん、同じ視点だよね。例えば、日本の伝統芸能の田楽。あれの由来は労働の歌、労働の踊りで、海外に置き換えてみるとフォークダンスにあたる。こうやって、日本と海外の文化の違いじゃなくて共通点を見つけてそれを相手に伝えるということは、日本の伝統・文化の伝え方としても良い方法だし、相手も興味を持ってくれて本当の意味で理解につながると思う。