Common’s Sense
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大学で光科学を学ぶということ
雀部 博之
今回は大学で教鞭をとっていらっしゃったご経験について伺いました。
(取材・文/小嶋和)
― 先生は大学生にも光科学を教えていらっしゃったんですよね。
千歳科学技術大学で光科学を教えるようになり、大学1年生の講義を週一度のペースで担当していましたね。2002年から2011年の学長時代もこの講義だけはしていました。
― 昔と今で学生の勉強する態度に違いはありますか?
昔は基礎・基本を大切にする学生が多かったように思います。一方、現代の学生はそれよりも結果を重視する傾向がありますね。原理・原則の重要性をもっと理解するよう働きかけていました。また、昔はすべての分野を幅広く理解したいという学生が多かったですが、今は一極集中でひとつの分野をより深く勉強したいという学生が多いように感じます。
近年よく言われているように海外の学生は大学に入ってから熱心に勉強しますが、日本の学生は大学に入学するまでは勉強をし、入学後は勉強しなくなるという現象は確かに見受けられました。海外からくる学生たちの勉強に対する熱意には感心させられますね。
― 光科学という分野は学生に人気がありますか?
工学部では、光科学をやりたいと言う学生が多いですね。医学部と協力して、医療機器をつくる研究もしています。例えば、赤外線を当てて反射を見ることで、脳の血管中の血液の集中具合がわかり、脳の活性化状況が分かります。また、がん細胞に特異的に吸着され光を発する分子を体内に入れ、がんの部位を特定し、さらにレーザ光を照射してその部位を死滅させる技術も進んでいます。そのような、医工連携がすすめられていますね。
― 学生に光科学を教えるうえで心がけていたことは何ですか?
光はいろいろなところで使われているということを学生に示すことです。スマートフォンにも使われています。ではなぜ画面が見えるのか考えてみようというように、身近なところにある光を認識するところからスタートして、興味の幅を広げてもらいます。
― それでは最後に、光科学を学びたいという学生にメッセージをお願いします。
光を使って何をやりたいか。それが決まれば何でもできます。興味を持てば何でもできるし、何にでも取り組めるのです。