Common’s Sense

雀部 博之

光科学の発展

雀部 博之

今回は、先生が光科学の道に進まれたきっかけと今後の展開について伺いました。

(取材・文/小嶋和)

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― 先生はなぜ光科学の研究の道に進まれたのですか?

 大学時代は、半導体やプラスチック、高分子など材料の研究をしていました。研究室では、電気は通さないといわれていた有機材料に電気を流すことに成功し、どうして電気が流れるのか、その変換方法に興味を持ちました。
 ところで、目が見えるって不思議だと思いませんか?電気が流れるメカニズムを勉強していく中で、目から入ってきた光(像)を網膜に写して、電気信号に変えて脳に伝えていることを知りました。その仕組みに興味を持ったことが、光を研究するようになるきっかけでしたね。
 余談ですが、強い光を連続してみると目に負担がかかります。特に強弱のある光は目が疲れやすく、また近年スマホなどで話題になっている青い光(ブルーライト)は目に良くないと言われています。目にダメージを与えないためには、連続して光を見続けないで、ときどき休憩をはさむと良いでしょう。


― そもそも、光科学という分野はいつ頃から研究が始まったのでしょうか?

 国連で2015年を国際光(ひかり)年と定めたのをご存知ですか?光を研究しようという試みは1000年前からありました。しかし、学問としてスタートしたのは、200年前ホイヘンスという学者からです。彼の言葉に「光は波である」という言葉があり、光を波動として認識していたことがわかります。一方ニュートンは「光は粒子である」と言っており、波動説と粒子説の2つがあったのです。その後20世紀になり、「光は波であると同時に、粒子である」という光の二面性が注目され始めました。


― 今後、光科学はどのように応用されていくのでしょうか?

 まるめて持ち運べるようなフレキシブルな画面(ディスプレイ)を持つ製品が出てくるでしょう。形を変えて携帯できるテレビや地図などが既に開発されています。今後の技術の発展には、どこまでフレキシブルで斬新な発想ができるかにかかっていると思います。また、RCタグも私たちの生活をより一層便利にしてくれます。これは買い物の際、いちいちバーコードを読み取らなくても、レジで一気にすべての金額がわかるという技術です。
現在光科学の研究は、医学・情報など様々な分野と連携しながら進められています。


― ところで、光というのは保存可能なものですか?

 今でも畜光はありますが、蓄電池のような仕組みの畜光というのは難しいだろうと考えます。しかし、畜光の強度を上げる研究(材料開発)は進みつつあります。
 今後蓄光の技術が発展するには、まずは用途があるかどうかが大切ですね。用途があれば、開発も進みます。光をエネルギーに変え、何に応用するかによってさらに形を変えます。一番使いやすいのは電気ですね。
 光といえば、人魂というのは実在するのですよ。骨の中にあるリンが発光してできるリン光が、われわれの目にも見えているのです。