Common’s Sense
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ご自身の研究について~有機EL~
雀部 博之
今回は、先生が今現在研究されている「有機EL」についてお話を伺っていきます。
電気屋さんで販売されている薄いテレビの売り文句に「有機EL」って書いてあるのを見たことはありますが・・・その実態は何なのでしょうか?
(取材・文/小嶋和)
― 先生は現在、九州大学で有機ELの研究をされているそうですね。
はい。2012年から最先端有機光エレクトロニクス研究センター(OPERA) の研究戦略アドバイザーを務めています。「有機EL」を聞いたことはありますか?最近販売されているテレビやスマホのディスプレイ(画面)の中には有機ELを使ったものが急速に増えてきました。有機EL(有機電界発光素子)というのは、有機材料の薄い膜(数十ナノメートル)の両面に電極を付け、電圧をかける(電流を流す)とその膜から光が出てくるという現象を利用しています。材料の種類によって赤・緑・青の光を得られます。この3原色を適当に混ぜ合わせると好きな色に変換できますので、画像表示のディスプレイとして利用できます。
従来のテレビはブラウン管という巨大な真空管を用いたり、液晶パネルのように硬く曲げられないディスプレイでしたが、有機材料を使うことで、柔らかくフレキシブルなディスプレイにすることが可能になりました。中には、壁に貼れるような薄型のテレビもあります。
― この先、テレビは有機ELが主流となっていくのでしょうか?
そうですね、液晶から徐々に有機ELに変わっていくと思います。「有機EL」と謳っているテレビというのは、画像表示画面に有機ELを使用しているということです。
現在主流の液晶テレビはバックライトと呼ばれる白色光を赤・緑・青のフィルターを通して適当な色構成にして映像にしています。しかし、液晶テレビには欠点があります。斜めから画面を見るのと正面から見るのでは色がわずかながら変わってしまう、フィルターを使用していることで光を無駄にしているといった点です。有機ELは画像素子そのものが発光する物質なので、色ずれの問題はなく、また液晶に比べて省エネになるのです。
― 壁に貼れるような薄型のテレビは?
有機ELテレビはバックライトを使わないことで液晶テレビの百分の一の薄さにでき、またフレキシブルなディスプレイも可能です。既に厚さ1ミリのディスプレイや丸められるシート状のディスプレイも出現しています。しかし、まだ値段が高いのが現状ですね。